制服のビロキン

関東鳥屋の時系列崩壊ブログ

23.7.7-8 八丈航路

3年振りの夏八丈。この日は春先から続いていた忙しい日々がひと段落したので、解放感と勢いのまま1人で竹芝へ。予報では南西風が10m/sと条件も悪くない。あわよくばアカオネッタイやオナガナギ、シロハラナギなどの南方系が出ればと期待した。

 

いつも通り21時半に竹芝に到着。この日は金曜の夜、しかも七夕とあってとても賑やかだった。広場では浴衣を着た若者が多く、待合所は島に向かう家族連れ、外国人観光客などでごった返していた。コロナ前を思い出してなんだか嬉しくなった。そうこうしていると乗船時刻に。アネロンを投入してレッツゴー。何度乗っても、乗船口を抜けて黄色の船体が見えた瞬間がとにかくワクワクする。

 

出港後、荷物を置いてデッキへ。夜風に吹かれながらレインボーブリッジをくぐり、東京の夜景が遠のいていく。デッキではみんな楽しげに過ごしている。解放感で最高に気持ち良くなり、もはや鳥は出なくても良いやとすら思えた。

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翌朝4時30分、三宅到着前に目が覚める。部屋は勿論2等和室なのだが、知人のブログを参考にコンビニのホットアイマスクを付けて寝たら良く眠れた。準備を済ませ、おにぎり3個とアネロンを胃に入れる。ちなみに、昼食はバナナ6本で、夕方にカップ麺。観察中はグミを食べ、飲み物はお茶1リットル×2。これが個人的最適解と思う。

 

三宅出港からデッキに出て観察開始。風はあるが、鳥が出ない!オオナギはそこそこ飛ぶものの、遠い。アナドリも2羽を確認したのみ。唯一、御蔵八丈間でカツオドリが船に付いた。距離も近く、ゆっくり観察できた。最後はトビウオを捕まえて去っていった。この個体、双眼鏡で見た時は嘴がピンク色に見えたので当初はシロガシラ雌と思っていたが、冷静に写真を見るとそうでもなかった。ともかくゆっくり見られたのは良かった。

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f:id:Canvasback:20230713180532j:image【カツオドリ】

f:id:Canvasback:20230713180630j:image御蔵島

8:40に八丈到着。今回は珍しくアカコッコを2個体確認できた。1羽は多分雄。道路上を横切りブッシュへ飛び込んだ。もう1羽は、別の場所で囀りが聞こえた。近そうなので待ってみたが時間切れ。

 

復路は気合を入れる。八丈出港後、比較的近くを飛んだオオナギの中に、小柄でパタパタと羽ばたくミズナギが居た。反射的にオガナギ!と思いカメラを向けたが上手くファインダーに入れられずロスト。誤認かもしれないのでこれは計上しない。こういうのをちゃんと記録できるようにならないと。往路よりはオオナギが近く、カツオドリが混じったり、アナドリが飛んだりして退屈はしない。

 

そうこうしているとオナガミズナギドリ淡色型を発見。その後三宅島まで、オオナギに混じりパラパラ断続的に出現した。小柄で頭が小さく、翼も尾も細長いシルエットが目立つ。とはいえ、あくまで近くを飛ぶとわかるというだけで、遠いオオナギに混じっている個体や、一瞬で通り抜けていく個体たちは断定できない。往路も居たんだろうなと思いつつ、遠いのは諦めて見やすい個体だけ捌いていく。それでも淡色型10+を確認。実力不足を感じつつも、嬉しい出会いだった。

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f:id:Canvasback:20230713185420j:imageオナガミズナギドリ(2枚目左はオオナギ)】

三宅出港後はミズナギが減り、アナドリがパラパラ飛ぶのをただ眺める時間に。しかし、この鳥も3年ぶりに見たので、雰囲気など新鮮で面白い。翼が長くて、ウミツバメのスピードフォルムといった感じ。その後も特に成果はなく、17時、浦賀水道付近で撤収。

f:id:Canvasback:20230713185441j:image【アナドリ】

 

部屋でガッツリ寝て、起きると外は真っ暗。レインボーブリッジを通るところだった。デッキに出て夜景を眺めていると、藤井恵さんの「ことばの贈り物」が流れ、心地良い疲労感と共に心に染み渡る。鳥はあまり出なかったけど良い日だったな、と思った。何も考えず、何にも追われず、誰とも会話せず、広い海をただ眺める時間が自分には必要だったのかもしれない。船を降り、航路の余韻と現実に引き戻されるような感覚の狭間で揺られながら浜松町まで歩いた。この帰り道から見える東京タワーが好きだ。また船に乗ろう。八丈航路は最高だ。

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【観察種】

オオミズナギドリ

オナガミズナギドリ10+

アナドリ19

カツオドリ3

アカコッコ2

アマツバメ1